「阿呆にも程があんだろ」


心底呆れたような声で涼ちゃんが言う。


「阿呆って……! 私ちゃんと考えて、」


「じゃあ馬鹿だな。……お前、本当にちゃんと考えたか? 好きな奴が自分の為に好きでもねぇ奴と付き合うんだぞ。嫌に決まってるし、情けねぇって思うだろ」


「えっ……す、き……」


「だからデートは終わりだ。諦めろ、餓鬼。こちとら二、三年の話じゃねぇんだ」


じゃあな、と背中を向けて歩き出す涼ちゃんの右手は裕一郎くんに向けてひらひらと振られ、左手は私の右腕をしっかりと掴んでいる。