ふたりは少し不思議な変な子だった。




次の日の放課後、意味もなく部活終了後に教室に向かい




初めて教室内にふたりがいたことを思い出した。





放課後教室を訪れたのは昨日のことがあったからなのでふたりが放課後いることを思い出したわけではなく、




放課後、というのでふたりの存在を思い出すまで、



放課後まで、朝からふたりが教室にいたことすら忘れていた。




昨日と変わらぬ場所で、昨日と変わらぬ格好で




ふたりは喋るわけでもなく、ただぼうっと宙を眺めていた。





部活終わりは6時半、最低下校時刻は7時




30分、何もない教室の自分の席に座って時計の音を聞く。





―――静かだなぁ。




普段の賑やかさとは180度代わって、たまにはこういうのもいいなと目を閉じる。





「なあ」




ふいに響いた少し重い声に、いつの間にうたた寝をしていたのか慌てて顔を上げる。





昨日答えた片割れが、今日は質問する日なのだろうか。




外を眺めながら片割れはぽつりと呟く。





「光と闇、どっちがいい」





よく聞く質問に思わずえ、と声を漏らし、




片割れの言葉をうつぶせて待つ。




チャイムまで、あと5分。





 




「どっちも見えにくくて君が見つけられないから





カーテンをした部屋がいいなぁ」





確かに声は聞こえ、続けてチャイムが鳴り響く。





どっちか、なのに、どちらでもありどちらでもない。





胸の奥がもやりとした気がして、教室を出た。