母さんが頬杖をつきながらこちらを見てくる。 母さんからも許可が下りた。 途端に興奮の波が打ち寄せてくる。 行ける! 会いに行ける! 柄にもなく小さくガッツポーズなんかしてみる。 無様に顔がにやけてしまう。 さっさと部屋へ戻ろう。 だけど立ち上がろうとすると「待ちなさい」と母さんに呼び止められた。 「東京の学校を受験するのは分かったわ。 でも条件があるの」 そうして俺は残りの二年ちょっと、必死になって勉強した。 大げさでなく、それこそ死ぬ思いで。