届くなら、あの日見た空をもう一度。


なのになんでだろう。

加藤の一挙一動に、俺はどうしても嫌な気持ちにしかならなかった。

順番に歌いながら合間に言葉を交わす。

そんな流れ作業のような時間を二時間続けた。

「この後どうするー?」

程よく調子に乗った健吾がマイクを通してみんなに意見を求める。

「ゲーセン行こうよ。私プリ撮りたい」

「プリクラか。俺、何気に初だわ」

「えー。撮ったことないの?

それは損だよ。行くべきだよ」

「そうか、損かー。じゃあゲーセン行きますか」

健吾と川上は波長が合うのか終始こんな感じで盛り上がっていた。

「ほら要、置いてくぞ」