届くなら、あの日見た空をもう一度。


「一応自己紹介とかしとく?」

「えー。なんか恥ずかいいからいいよ。

分かるでしょう?名前くらい」

川上が俺の顔を伺う。

「知ってる。川上と加藤だろ」

「嬉しい。知っててくれたんだ」

加藤が手を合わせ口元に当てながらわざとらしく小首を傾げる。

わざとらしい所作も自然に思えるくらい加藤は整った顔をしていた。

小さい顔に潤んだ大きな瞳。

真っ黒でサラサラした髪が肌の白さを際立たせている。

男ならば一度は付き合ってみたいと思わせる容姿を持っていることを自覚しているのだろう。

その目には自信が溢れている。