「そうだな。帰るか?」
「帰らない。佳穂には悪いけど」
何かを含んだような笑顔で加藤はそう言った。
そうか。
俺は健吾たちの仲を取り持つためじゃなくて加藤のために呼ばれたんだった。
「部屋六番だって。飲み物持ってから行こうぜ」
各々好きな飲み物を持って部屋に向かう。
部屋にはテーブルを挟んで二つのソファーが並べられており、健吾と川上は自然に隣同士に座る。
嫌だな。
カウンターで見た加藤の顔が脳裏に蘇る。
だけど健吾達とは反対のソファーに加藤が座り俺の座るべき場所は自動的にその隣になる。
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