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「要!こっちこっち」
健吾の声は良く通る。
それはもう道行く人が振り向いてしまうほどに良く通るのだ。
毎度お馴染み。
当然のように道行く人の視線が健吾に集まる。
「おう」
「じゃあ入りますか」
ハワイアンな香りのする店内に四人で入る。
健吾と川上がカウンターで店員とやり取りしているのを見ながら思う。
これなら俺はいらなかったんじゃないか?
二人の方が盛り上がりそうなもんだ。
距離感の近い二人は端から見たら付き合ってるようにしか見えない。
「佳穂に悪かったかな」
隣にいた加藤がぼそりと呟く。
「何が?」
「なんか田辺君と佳穂いい感じじゃん?
私たち、邪魔かなって」


