「なんでいつもこんな所で本読んでんの」
「いつもじゃないよー。
たまたま私がここにいる時にかなちゃんが来るだけだよ」
「俺、毎日ここに来てるんだけど」
「そうだっけ?」
とぼけながら微笑む姿に心臓が痛いほど脈打つ。
「ってかさっきから質問の答えになってないし」
「そっか。そうだよねー」
そう言いながらなのねえの視線が公園の中に吸い込まれていく。
「うーん、なんかね落ち着くんだここ」
まだ帰る気はないのだろう。
足を投げ出しくつろぐなのねえの横に少しの隙間を空けて腰を下ろす。
「好きなんだ」
その言葉に一瞬、心臓が止まった。
いや、マジで。
だけどそれは俺に向けられた言葉じゃない。


