好きな人、いるっつーの。 健吾はいい奴だ。 普段はお調子者に徹しているが困っている人を見るとなんの躊躇いもなく手を差し伸べる。 協調性があっていつでも輪の中心にいる。 そして頑固だ。 だから俺を誘うように促した川上のためにも。 加藤のためにも。 自分のためにも。 何より完全に余計なお世話だが俺のためにも。 ここは譲らないだろう。 「はあ……分かったよ」 「さすが要様!サンキュ。 待ち合わせ場所とかは後で連絡するから。 よろしく頼むな!」