「なんもねえよ」 「なんも?」 「ねえ」 「ふーん。まあ良いや。じゃあさ明後日は? 空いてるよな?」 「……空いてるけど、何?」 健吾のドヤ顔が何か企んでることを物語っている。 俺はこの顔のこいつからまともなことを聞いた試しがない。 警戒する俺を逃さないとでも言うように健吾は再び肩に腕を回してきた。 「デートしようぜ」 「はあ?」 「デート。隣のクラスの川上知ってる? 俺川上のこと好きみたいなんだわ。 で、昨日声かけたら一緒にカラオケ行くことになっちゃってさー」