なんだよそれ。
俺だっていつまでも子供じゃない。
いつかは兄貴やあんたみたいに大人になる。
ーチク
そう、いつかは……。
でもそのいつかはいつかであっていまじゃない。
それに俺がいつか大人になったところで二人には追いつけない。
ずっと。
揺らぐことなく。
九年という時間は俺たちの間に居座り続ける。
「かなちゃん、昌おばさんたちは元気?」
俺の反抗なんか聞いていなかったかのように俺のことをかなちゃんと呼ぶ。
せめてもの抵抗に大きなため息をこれ見よがしについてからぶっきら棒に応えてみた。
「元気」
「あ、かなちゃんいま怒ってるでしょう。
もう仕方ないなぁ。はい。
お土産あげるから機嫌なおして」


