朝。

駅のいつもの場所で月菜と落ち合う。
月菜は同じクラスの親友。部活も同じで、なんでも話せる存在。
別のクラスにも詩能という子がいて、いつも私達はその3人で行動してる。

ー西澤、桃菜の気持ちに全然気づいてないだろうな。上手くいくといいな、2人…

「めい、なんかあった?」
突然月菜が聞いてきた。

はぁ…まったくこの子は。
私が考え事してるの、わかってるんかい!

私は下を向き、小さくため息をついた。
「何かあったように見えるの、月菜?」

そうすると、月菜がフッと不敵な笑みを浮かべた。
「私を誰だと思ってるの?ふふ」
「え、月菜でしょ。」

一瞬、時が止まった。
私たちの体が静止する。

「違うそうじゃなくて!私はめいのことなんでもわかるの!めいの口数が少なかったらそりゃなんかあったと思うでしょ!?」
月菜はその細い腕をぶんぶん振り回しながら必死に抗議した。
正直、小柄でほっそい月菜がそれをやっても全然迫力がない。…とか言ったら全力で睨まれるけど。
「あ、そーだね」
「もう!見下ろさないでよバカァァァ!」
「うちら身長差16㎝なんだからしょうがないでしょ!?」