「待ってください!!」


慌てた董坂さんに腕を掴まれる。
ふたりに腕を持たれて私は動揺する。


「えっ!?えっ!?」


「…このタイミングでややこしいことを言わないで頂けますか??父の子でしょう??」


顔をしかめて桜を睨む。


「そう言いきれるの??」


「貴女には自分から指一本触れていない」


「風薬で眠っていても??」


「僕の身も心も、心花さん以外には反応しません」


きっぱりと言い切った。
なんか格好いい。


「………本当に??……信じていいんですか??」


「もちろんです」


董坂さんに近付くと、栞さんはその胸ぐらを掴んだ。


身長差が少ない分、妙に絵になった。
しかもふたりともスタイルのいいきれい目で、ドラマの1シーンのようでもあった。


「泣かしたら、いつでも取り返しに来るからね!?」


聞いたこともない低い声で脅した。
栞さんは強い。


「もちろんです」


ふっ、と表情が和らぐと、そっと掴まれた手を離し、私に近付いてひょいっとお姫様抱っこした。


「行きますよ、姫」