「婚約者はどうなってるんですかっ!?うちの大事なチビちゃん、いやもとい。心花を我が者にするならそれなりの覚悟を持ってるんでしょうね!?」


怒りを露に噛みつく栞さん。
こんな風に思ってくれていたのだと胸が熱くなった。


言ってもたかが仕事仲間で、学生時代から不器用で付き合いも悪く、尚且つこの数年はバイトしかして来なかったのに。


「…ご心配には及びませんよ」


穏やかに応える董坂さん。
でもなんとなく目の奥が笑っていない。面倒な奴が来たという表情で。


「……お腹に赤ちゃんがいるわ」


その後ろから桜が来た。


「えっ!?」


青ざめる私と栞さん。


「やっぱり!!そういうことなんですね!?心花!!ストーカーの言うことなんか信じちゃダメよっ!?」


栞さんは最初のお客様だった頃から董坂さんを怪しい、胡散臭いと敵視していた。


つかつかと私に駆け寄ると、バッと手を引いて行こうとする。