いかにも高級外車だらけのガレージの電動シャッターを上げ、シートベルトを外す。


運転席から身を乗り出すと、助手席の私に顔が近づいた。


反射的に顔を背ける。
けれど、大きな手で顔を向けられ、唇を塞がれた。


長い長いキスだった。
ふっと離れると、囁くように、


「僕(シモベ)なんて言い方して、ごめんなさい。………好きです。10年前からずっと。傍に居てください。お嫁さんとして」


「じゅうねん……」


ほわんとしてしまった。
暖かい。
じんわりと。


「あのとき助けてくれなかったら今の僕はありませんでした。それだけじゃない。一目惚れです」


「あのときの…??本当に??」


本当は私も、彼が他の人とは違って見えた。
けれど気のせいだと思った。