「じゃあ、どっちとも別れたんだ」


月始めだったので、今月一杯で辞めますと店長に報告して。


住むところもなくなっちゃったし。
住所不定では固定した職は探せない。


いつまでも栞さんの家にお邪魔することもできないし。


彼から逃れるには、一旦身を隠して実家で落ち着いて出直そうと。


スタッフルームで、お世話になったみんなにせめてもの缶コーヒーを振る舞う。


「別れたっていうか、付き合ってもないですけどね」


「そっかあ、実家帰っちゃうのかあ。寂しくなるぞ。連絡しろよ??」


「はいっ」


でもこれで、栞さんまで就職で辞めちゃったら、お店大変だろうな。


店長には申し訳ないことをした。