「心花、僕が付いてるよ」


優しく肩を抱き寄せられた。


「と、とにかく、この子を動物病院に連れてかなきゃ」


反射的に慌てて離れた。
こんなときに。せっかく、優しくしてくれるのに。


私はひどい人間だ。
自分からキスまでしておいて。


「こーすけ??」


マンションの下まで降りたとき。
ふと、入り口から声を掛けられた。


ベージュのロングコーディガン、ロンT、超ミニのデニムパンツ。栗色の髪を背中まで伸ばした、お洒落なファッションに身を包んだ美少女だ。今どきの。


「…LUCA…?!どうしてここに!?」


洸亮さんのひと言で全てを理解してしまった。


そういえば、付き合ってるとかいないとかのモデル仲間がいるとか聞いたな。


「あっ、お邪魔しました。私はこれで」


慌ててさらに離れ、帰ろうとした。