髪をわしわしと掻き乱し、身動きが取れないもどかしさと苛立ちで、部屋の中でうろうろする董坂。 ―――それにしても。あの男。 心花と付き合うだと!? 両親にも会っただと!? ―――冗談じゃねえ。 俺が10年も前に見つけた彼女をいとも簡単に。 目の前で。 目の前でキスなんかしやがって。 「ああ!!……くそっ!!」