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具合が悪いからと何とか桜を無理やり帰らせた董坂。


ふと気付いた。
ハナもいない。


「ハナ??どこ行った??」


と、
カーテンの裏から、恐る恐る顔を出す。


怯えて気配すら消していたようだ。


「もう、大丈夫だよ。おいで」


「……にゃあ…??」


けれどなかなか近付こうとしない。


「…ああ」


服の匂いを嗅いでみて納得した。
香水の残り香がキツい。


仕方なくシャワーを浴びて出てくると、ようやく足元に擦り寄ってきた。


「探しに行くか、もう一人の飼い主を」


「にゃあん」