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困った。
いや、まずい。


董坂は、咄嗟に取ってしまった行動に動揺していた。


何を思ってあんなことをしてしまったのか。
というか条件反射で、考えるより先に体が動いてしまった。


女子の。手の傷口を舐めるとは。俺はなんということを。


いや、それより。
この状況は。


誘拐みたいなもんだぞ!?
相手が来たとはいえ、有無を言わせず住まわせるなんて。


とんでもないことを。
犯罪だぞ。
こんな。こんな一回りも年下のか弱い女性を。


しかも。なんでこんなに素直に従って付いてきてくれるんだ???!!


逃げるだろ普通。
交番に駆け込まれて、警察に付き出されても文句言えない立場だぞ。


そりゃあ、いられれば。
このままいてくれたらとは思うが。


―――ずっと前から見てたんだから。