ふわりと、胸元に顔が埋まった。


「…お、お嫁さんに、………なって……くれませんか」


「――――えっ!?」


消え入りそうな声で。


聞き間違いだと思った。
だって、まともに顔を合わせたのは初めてなのに。


「…いや、えっと…えっ!?」


すると、ばっ、と突き放す。
顔を背け、


「ごめんなさい。忘れてください」


テーブルに置いた携帯の振動音で、ビクッとして慌てて離れる。


―――今、なんて???嘘でしょう????


心臓が、口から出そうなほどバクバクした。


抱き寄せられた瞬間。
彼も、そうだったけれど。