「にゃあ」


顔を舐められ、ヒゲがくすぐったくて気が付いた。


「はあっ!?ここは!?」


ガバッ!!と飛び起きると仔猫が顔から滑り落ちた。


「ああっ!!ごめん!!」


わたわたと仔猫を拾う。
―――うん???……………べっど??!!!


巨大なふかふかベッドで布団を掛けられ寝ていたらしい。
服はそのままだ。


「お早うございます」


ガチャリとドアが開く。あのお兄さんだ。
屈んで仔猫を抱き上げる。


「え"っ!?なんで!?」


「すいません、俺、電話しといて留守にしてて。玄関先でお休みだったので、勝手に部屋に運んできちゃいました」


あっ!!
と思い出して、耳まで赤くなる。両手で顔を覆う。


「ごご!!ごめんなさい!!私ったら!!あんなところで寝てしまって!!暖かくて気持ち良くなっちゃって」


慌てて捲し立ててから、


「あっ!!そうだ!!万年筆を」


ベッドからやっとの思いで降りると、部屋の隅にあるソファに置かれたリュックを漁る。


「あった!!………ごめんなさい。これですよね??確かめてください」


茶封筒を差し出す。
差し出して、封を取ると思った手が、手首を掴まれ引き寄せられた。


「…………えっ……???」