「姉ちゃんもさくらっちも、シッターのお仕事こんなにこなせるの??」


さくらっち、というのは柚季が勝手に呼んでいる櫻さんのニックネームだ。とはいえ本人も、案外喜んでいるみたいだし、弟を可愛がってくれる。


柚季にもたまにご飯やりやらシーツ交換でお世話になる。
改築したての我が家の離れをペットホテルにして預かるはめに。


都心に近いとはいえ、田舎にできたシッターとホテルとあって物珍しさで近所のお客さんでごった返すのだ。


お目当ては櫻さんの見物もあったけれど。


「だから無茶だって言ったじゃないですか!!」


おまけにだ。


「心花ちゃん、元気してる??」


游亮さんまで、間の距離にあるマンションで彼女さんが飼っているという、小型犬のお世話に行った先で揉みくちゃにされる私。


「うちの奥さんにちょっかい出さないでくださいね」


首根っこを掴まれて剥がされる私。どっちが小動物かわからない。
どうせオモチャにされてるだけだしと、相手にはしてないのに。


「おっ、お客様ですから」


また不機嫌になる。
それでも動物たちは懐いてくるからすごい。


でも、妬いてくれてるんですよね??………たぶん。