董坂さんのお父様はといえば、何だかんだで70歳を目前に、桜さんとのお子さんを抱くことができ、若返った。


お子さまパワーはすごい。
余命数年と言われた病を跳ね除けてしまった。


そのお陰もあってか、なんとなく雲行きの怪しかった親子関係も、トゲというか溝は埋まりつつあるように見えた。


「出任せじゃなかったんですね…」


むしろそのことに驚いた私。


「あの父ならやりかねませんし、あのとき言った言葉も嘘じゃありませんよ」


「…あのとき???」


「いや、なんでもありません」


見も心も、というやつか。
うふふ、と笑顔を噛み殺す。


そして、結果的に反発して自身で築き上げた資産もあってか、財閥の財産には元より無関心な董坂さん、もとい。


「…さ、…櫻、さん」


「お仕事に行きますよ??姫」


相変わらずペットシッターとして時折、ペット関連の会社の方に顔を出すようにしている櫻さん。


留守中のお守りをする防犯機能付きのカメラを元に、新たな商品の企画製造販売に向けての考案に携わっていた。


結局、姫という名のシモベに格下げ??格上げになってしまった。のか??よくわからない。


でも。
もちろん、このシモベ姫はただのシモベにはならなかった。