本命とは言ってない。




突然のチャンスに私は1日ドキドキしていた。

……本当は持ってきてある。

もしも、もしも勇気が出たなら、頑張って渡そうと思った。

懲りてないな、私。

今年勇気が出たら、はっきり言おうって。

友達じゃない、好きなのって。




……彼は困ったように笑うかな。





「めぐる!」

「あ、涼一!ハッピーバレンタイン」

「へへ、サンキュー」


頭を掻きながら受け取ってくれた涼一。

照れ笑いも毎年のことだ。


「あ、これも」

「毎年毎年ありがとな、兄ちゃんも喜んでるよ」


涼一だけじゃなくて、涼一のお兄さんにも毎年渡している。

大学生のお兄さんはお返しがとっても豪華だ。



「来年からはもうないかな」

「え?なんでよ、来年もあげるよ」

「だってお前今日…」



何か言いかけた涼一の背後に、ゆらっと影ができた。