「友…?」
「そうでしょ?」
緩く、でもはっきりと拒絶された気がした。
踏み越えてはならないラインをひかれたような気がした。
自分の浅はかな考えが恥ずかしくて、顔が熱くなって、私はへらりと笑って逃げた。
その時私はなんて言って帰ったのか覚えてないけど。
ただただ自分が惨めだった。
その次の日気まずいのは私だけで。
そりゃそうだ、彼は友チョコとして私のチョコをうけとってくれたんだから。
でも私には耐えられなくて、しばらく彼を避けてしまっていた。
ようやく普通に話せるようになるまで戻ったのはつい最近のこと。
今年はもうあんな思いをしたくない。
さっき聞いてきたのだって、きっと去年と同じ気持ちで。
例え表向きは友チョコだとしても下心が入ったチョコなんてもう渡せない。
だから、今年は彼にあげない。

