彩はまだ来ていない私の後ろの席に座り話を続けた。
「そーいや、この席って誰なの?」
「んー、覚えてない」
「えー、昨日ちゃんと確認しときなよ」
彩は困ったように笑った。
たぶん、女子じゃない限りあまり話さないと思う。
その後も私たちはしばらく雑談を続けた。
「わりー、カバンだけ置いてもいい?」
突然誰かが彩に向かって声をかけた。
「なーんだ、ここ瞬の席じゃん」
彩が席から離れようとすると
「なんだよ彩、俺の席だとダメなのかよ
カバン置くだけだから話してろよ」
と、カバンを置いて、友達の所に行ってしまった。
「高野瞬、まさかあいつの席だったとはね。
私中学から一緒で仲良かったけどぶっきらぼうな奴でしょ?」
彩は彼を目で追いかけながら言った。

