「でもなんで高野くんがそれ知ってるの?」
「帰る時に宮坂さんの下駄箱空いててさ、その中に弁当あって、『忘れ物』って書いてあったからさ。俺あの時、パンとか分けてやれば良かったなって思ってさ」
そっか…あの日、お母さんが持ってきてくれたんだった。でもその事知らなくて、その日はバイトだったからバイトの空き時間に食べたっけな。
「もっと思ってる事とか自分の気持ち言っていいんじゃない?周りに合わせなくたって気を使わなくたっていい。言葉にしてやっと伝わるんだからさ」
高野くんが笑いながら言う。
「…なんか、ありがとう」
なんだろう、これ…
誰かにこんなこと言われたの初めてだから、
なんか、
すごく嬉しい。

