(うぅん!どうしよう、じゃない!!)
断らなくちゃ!
だって彼のこと、分からないもの!
何を思っているのか、どうしてこんなこと言うのか、分からないもの!
(私…付き合えないよ。)
「私…あなたのこと…」
声が掠れそうになる。
でも、言わなくちゃ…
瞳をきゅっと閉じ、意を決する。
「あなたのこと…
分からないから…」
とても楢崎さんの方を見られなくて、線路に冷たく反射する陽の光に眼を遣る。
その刹那、強い風が私たちを煽る。
だって、知らない男の子だもん…
可愛いって言われたけど、好きだとは言われてないもん…
私より可愛い子なんて星の数くらいいる。
だから大丈夫。
なにも心配ない。
彼のこと、傷付けてない。
大丈夫…

