あやのの家が見えてくる。



不意にあやのが俺の腕を引いた。

そして耳元で囁く。



「ご褒美は大学受かってから。

一泊二日、空けといてね。」

「!!」



あやのの手がするりと離れる。



「あやの!」



あやのが後ろ手に手を振り、自宅の門の向こうに消える。



こうして俺はあやのの掌の上で転がされる。

見え見えに分かってるんだけど、毎度転がされる。

いや、実は自ら転がされるとこに振り込んで行ってるんだと思う。



これからもあやのに転がされ続けたい。

そうして傍に居続けたい。

俺の未来、全体的にあやのに仕切られたい。



そう思う俺はやっぱ、



(変態なのかな…?)



2階のあやのの部屋に電気が付くのを見上げながら、思わず自分に苦笑いする。