「はぁっ?白鳥!?」



静かなカフェに彼女─金原あやのの声が響く。



「あやの、声デカイ。」

「だってまぁくんの友達の…ピカル君、だっけ?…の好きな子が白鳥だとか…あり得ないでしょー。」



新春の夕刻。

初詣の帰り。

あやのの家の最寄り駅前の外国資本の小洒落たカフェ。



俺─五十嵐正斗はあやのに友人楢崎ヒカル─通称ピカルの片想いの相手が白鳥さんという名前らしいことを話した。

ピカルが電車であやのと同じ学校の名前も知らない女の子に一目惚れしたことは元々話していた。

それが12月の終業式にようやくその子が誰か判明したのだ。