白鳥さんの姿が階段の上に消える。



静かなホームにまた上り電車が来るアナウンスが流れる。



「あなたのこと…分からないから…」



君の声がリフレインする。



俺も分からないよ、君のこと。



でも…



でもこんなに好きだ。



分からないと、好きになれない?





「納得…いかねぇよ。」





近付く電車の轟音。

風が吹き付け、前髪が視界を遮る。



俺は落ちてくる前髪を右手で払い除ける。



それから…



強くホームを蹴り、走り出す。

そして舞い跳ぶように階段を駆け上がった。

     *  *  *