「彼氏、いるの?」 俺の問いに君はまた首を振る。 少し安堵したのも束の間、 「でも…」 幽かな声で君が呟くように言う。 「私…あなたのこと…」 君の唇が止まる。 (それ以上、言わないで…) 言葉の続きは大体想像がつく。 いかに前向きな結果しか考えないと言っても、君の伏し目がちな瞳を見れば嫌でも思い知らされる。 「あなたのこと…分からないから…」