「俺、朝いつも同じ電車だったんだ。
初めて白鳥さんを見た時から…その…可愛いなって、思ってて…」
「……」
君は更に俯く。
俯き過ぎて表情は分からないけど、頬が真っ赤に染まっているのが僅かに見える。
(そんなとこ、やっぱ可愛いな…)
「白鳥さん。」
俺は君に呼び掛ける。
知ったばかりの名前を。
「友達からでいいんで…
良かったら俺と…」
握り締めた拳が震える。
俺はごくりと唾を飲んだ。
「俺と付き合ってください!」
華奢な君の肩が更に縮こまる。
マフラーの端を握る手にきゅっと力が入るのが見て取れる。
俺たちの間を風が吹きすさぶ。
切ない間。
君は今何を思うの?
不安。そして、小さな期待…

