誰かが君に恋してる。~純情男子の恋の傾向と対策

電車が着くと、今度はさっきより多くの学生が降り立ってきた。

菊女のセーラー服も混ざっている。





その中の一つに君を見つける。

その瞬間、胸が跳ねる。



どこか不安げに人の流れを見回す君。



俺はゆっくりと近付いた。



6人掛けのベンチ一つ分まで近付いた時、君が俺を認めた。

眼と眼が合う。

俺は立ち止まって、君に微笑む。



「ありがとう。来てくれて。」



「いえ…」



君は俯き、小さくかぶりを振る。



俺はもう数歩だけ君に近付く。

怖がらせないように、少しだけ。