そう思った時ペットボトルから口を離した酒井が



「ピカル台詞は完璧なんだけど…」



と、歯切れ悪く言った。



「なんだけど、何だよ?」



的矢が促すように訊ねる。



「あ、いや…」



俺に気を遣ってる?

今更いいよ。

ていうか、むしろ言ってくれ。



「台詞は完璧に入ってる、と思う。思うんだけど、なんか…いや、相手が俺だからかもしんないけど…」

「言葉選ばなくていいよ。」

「……」

俺が言うと酒井は申し訳なさそうに、でも意を決したようなストレートな口調で言った。



「なんか心に響かないんだよね。」