「朝から溜め息吐きやがって。」



窓から駅舎が見えなくなると酒井が言う。



「え…?」

気付かないうちに溜め息吐いてたのか…



「諦めたら?」



「!?」



「そんな切ない顔で彼女のこと見送って。

お前、恋してる幸福感が全然ねぇんだもん。」



「……」



「声も掛けれねぇし。」



「……」



返す言葉もなく俺は窓の外に眼を遣った。

悔しいくらい澄んだ空。