電車が次の駅に着く。

この駅を使う学生の波が降り、数人が乗り込んでくる。

そして再び走り出す。



「なぁ。声掛けたら?」

酒井がまた俺に囁く。



「む、無理無理!」

「なんで?

このまま逢えなくなんぞ?」

「……」



そんなこと俺が一番分かってる。

分かってるけど、それが出来るくらいなら…

こんなに困ってない。