2人が部屋に戻った後、5人での食事は続いた。
日々谷くんも本田くんも詳しく自己紹介をしてくれなかった為に美鈴とイズミさんから聞いた。
日々谷くんはイズミさんと同じ商業で、科はビジネスでは無く、ファッション。
将来は美容師を目指しているらしい。
2人とも特に部活には入っていないらしい。
美鈴は決して成績が良いとは言えないらしく、定期テストではそこまで良い点数が取れず悩んでいたという。
それを見兼ねた本田くんが気を使い、勉強を教えるようになったと言う。
基本的に週3程度に家庭教師的なことをしているらしいが定期テスト目前になると毎晩らしい。
本田くんは女の子と2人きりにしても絶対に手を出さない。
理由はヘタレだから。
それに関して蛍さんも彼にある意味絶対的信頼を抱いているために本田くんだけは特別に男女間の部屋の行き来を許可しているんだとか。
日々谷くんは女好きらしい。
と言っても絶対に手を出さない。
可愛い、と言うのも口先だけ。
だから例え女の子と2人きりにしても大丈夫だとは思うが「見ててイライラするから」という蛍さんの心理的理由から2人きりにさせることを許されていない。
コミュニケーション能力は高く友達も多いために常に誰かが傍に居るようなタイプだ。
運動神経は人並みよりもあり、大抵どのスポーツも出来るらしい。
更には勉強も出来るので世の中の男の僻みの的だろう。
「僕も部屋に戻るね。
蛍さん、いつ帰るの?」
「あー、お前らが風呂入ったらかなぁ。
今日の風呂掃除当番は涼真だっけ?」
「うん、そうだよ。」
天もダイニングキッチンから出て行く。
って、え?
帰るって…。
「蛍さんはここに住んでるわけじゃないんですか?」
「あぁ。一通り面倒見たら近くのアパートに帰るんだよ。
朝になったらここに来てまたお前らの面倒を見る。
それの繰り返しだよ。
この建物は俺の物じゃねぇからな。」
「え?ここの大家なのに?」
キョト、と瞬きをする。
蛍さんは頭をガシガシと掻きながら「色々あってな」と気まずそうに答えた。
色々って何だろう…。
あまり深く聞かない方がいいのかな?
「ふー、ご馳走様。
ね、椿。まだ部屋の片付け終わってないんでしょ?
なら私も手伝うから部屋に行こう。」
「あ、うん。」
慌ててご飯を食べ終え、食器を下げる。
美鈴と2人並んで階段を上がった。
「イズミさんはよかったのかな。」
「イズミさんはこれからジョギングだからね。
ご飯を食べて少し休憩したらジョギング、っていうのがイズミさんの日課なの。」
「へぇ…。」
当たり前だけどここには色んな人が住んでいて、それぞれの生活のペースがある。
それを邪魔しないように、だけど適度に関わりながら皆過ごしているんだろうな。
私も早く皆のリズムを知って溶け込まないと。
「椿、勝手に部屋入ってもいいの?」
気付けば美鈴はもう私の部屋の前にいて、開けようとノブに手をかけていた。
別に見れて困るものなんて無いし、鍵も掛けていないから「いいよ」と頷いた。
美鈴がドアノブを捻ると簡単に扉は開いた。
「わっ、不用心!
蛍さんから鍵貰ってないの?」
「鍵…あるのはあるけど掛け忘れた。」
ここに入居する事が決まった時、部屋の鍵が郵送された。
下宿と言っても他人と住まうわけだし、住人を疑う訳では無いがある程度の警戒はした方がいい、と手紙に書いてあった。
それに下宿自体に泥棒に入られたらひとたまりもない、と。
そう言えばあの手紙の送り主は“和泉蛍”とあった。
大家として当然の仕事なんだろうけど、大変だな。
目の前の美鈴は不用心の私に怒りを露にしていて、手を腰に当て睨んでいる。
これは私が悪い、か。
「…ごめん。今度から気を付ける。」
「まぁ今は皆が居るから大丈夫とは思うけど。
蛍さんが居る時以外はちゃんと施錠しときなよ?
あと外出する時はちゃんと締めな?」
「うん、分かった。」
素直に頷くと美鈴は怒りを消し、にっこりと笑った。
美鈴の笑顔は可愛い。
そして人の心を癒す。
自分でも意味がわからないけどそんな感じがする。
日々谷くんも本田くんも詳しく自己紹介をしてくれなかった為に美鈴とイズミさんから聞いた。
日々谷くんはイズミさんと同じ商業で、科はビジネスでは無く、ファッション。
将来は美容師を目指しているらしい。
2人とも特に部活には入っていないらしい。
美鈴は決して成績が良いとは言えないらしく、定期テストではそこまで良い点数が取れず悩んでいたという。
それを見兼ねた本田くんが気を使い、勉強を教えるようになったと言う。
基本的に週3程度に家庭教師的なことをしているらしいが定期テスト目前になると毎晩らしい。
本田くんは女の子と2人きりにしても絶対に手を出さない。
理由はヘタレだから。
それに関して蛍さんも彼にある意味絶対的信頼を抱いているために本田くんだけは特別に男女間の部屋の行き来を許可しているんだとか。
日々谷くんは女好きらしい。
と言っても絶対に手を出さない。
可愛い、と言うのも口先だけ。
だから例え女の子と2人きりにしても大丈夫だとは思うが「見ててイライラするから」という蛍さんの心理的理由から2人きりにさせることを許されていない。
コミュニケーション能力は高く友達も多いために常に誰かが傍に居るようなタイプだ。
運動神経は人並みよりもあり、大抵どのスポーツも出来るらしい。
更には勉強も出来るので世の中の男の僻みの的だろう。
「僕も部屋に戻るね。
蛍さん、いつ帰るの?」
「あー、お前らが風呂入ったらかなぁ。
今日の風呂掃除当番は涼真だっけ?」
「うん、そうだよ。」
天もダイニングキッチンから出て行く。
って、え?
帰るって…。
「蛍さんはここに住んでるわけじゃないんですか?」
「あぁ。一通り面倒見たら近くのアパートに帰るんだよ。
朝になったらここに来てまたお前らの面倒を見る。
それの繰り返しだよ。
この建物は俺の物じゃねぇからな。」
「え?ここの大家なのに?」
キョト、と瞬きをする。
蛍さんは頭をガシガシと掻きながら「色々あってな」と気まずそうに答えた。
色々って何だろう…。
あまり深く聞かない方がいいのかな?
「ふー、ご馳走様。
ね、椿。まだ部屋の片付け終わってないんでしょ?
なら私も手伝うから部屋に行こう。」
「あ、うん。」
慌ててご飯を食べ終え、食器を下げる。
美鈴と2人並んで階段を上がった。
「イズミさんはよかったのかな。」
「イズミさんはこれからジョギングだからね。
ご飯を食べて少し休憩したらジョギング、っていうのがイズミさんの日課なの。」
「へぇ…。」
当たり前だけどここには色んな人が住んでいて、それぞれの生活のペースがある。
それを邪魔しないように、だけど適度に関わりながら皆過ごしているんだろうな。
私も早く皆のリズムを知って溶け込まないと。
「椿、勝手に部屋入ってもいいの?」
気付けば美鈴はもう私の部屋の前にいて、開けようとノブに手をかけていた。
別に見れて困るものなんて無いし、鍵も掛けていないから「いいよ」と頷いた。
美鈴がドアノブを捻ると簡単に扉は開いた。
「わっ、不用心!
蛍さんから鍵貰ってないの?」
「鍵…あるのはあるけど掛け忘れた。」
ここに入居する事が決まった時、部屋の鍵が郵送された。
下宿と言っても他人と住まうわけだし、住人を疑う訳では無いがある程度の警戒はした方がいい、と手紙に書いてあった。
それに下宿自体に泥棒に入られたらひとたまりもない、と。
そう言えばあの手紙の送り主は“和泉蛍”とあった。
大家として当然の仕事なんだろうけど、大変だな。
目の前の美鈴は不用心の私に怒りを露にしていて、手を腰に当て睨んでいる。
これは私が悪い、か。
「…ごめん。今度から気を付ける。」
「まぁ今は皆が居るから大丈夫とは思うけど。
蛍さんが居る時以外はちゃんと施錠しときなよ?
あと外出する時はちゃんと締めな?」
「うん、分かった。」
素直に頷くと美鈴は怒りを消し、にっこりと笑った。
美鈴の笑顔は可愛い。
そして人の心を癒す。
自分でも意味がわからないけどそんな感じがする。
