一つ屋根の下

「ここが君の部屋。」




3階まで上がり、一番奥の左側。

扉には“6号室”と書いてあった。

ここか…。

鍵は掛かっておらず、ドアノブを捻れば簡単に扉は開いた。

既に家具は入れており、見慣れた家具が並んでいた。

部屋は思ったよりも広かった。

壁紙も床も真っ白で清潔感があった。




「荷物、ここに置いとくね。」


「あ…。ありがとう。」




ここまでキャリーバック運んで貰ったんだった。

自分で運ぶべきだったな。申し訳ない。

ここに来てからずっと天に迷惑をかけてばかりだ。




「天の部屋は何号室なの?」


「2号室だよ。さっきも言ったけど男女間の部屋の行き来は禁止だからね。」


「分かってる。行く気なんて無いよ。」


「あ、そう。」




天はそれきり無言になった。

元々口数が少ない方なのかな。

それにしてもどうしようかな。

これから夜まで、何かする事あるかな…。

ああ、そうだ。

荷物の整理しなくちゃ。

扉の近くには段ボール箱が2つあり、あの中身を整理しないといけないと考えると何だかうんざりとした。

スタスタと段ボール箱に近づくと部屋の中央まで持って行った。

ビリビリとガムテープを剥がす。




「ねぇ。」


「何?」




ガムテープから手を離し、顔を上げる。

赤茶色の髪の隙間から切れ長の眼がジッと覗く。




「もう用はない?無いなら僕、部屋に戻りたいんだけど。」


「あぁ、今は大丈夫。また分かんない事があったら聞くね。
案内してくれてありがとう。」


「……。」




天は口を噤むと部屋から出て行った。

バタン、と扉が閉まる。

それと同時にふわっといい匂いがした。

香水…?

私は香水なんて付けないからきっと天の香水の匂いだ。

いい匂い…。

って、何考えてるんだろう私。

何か変態みたいじゃない!

慌てて首を振って変態的考えを振り払うと荷物の整理を再開した。