薄手の青いカーディガンを着た黒髪の彼は、今日も長い脚をゆっくりと前にはこびながら、悠々と歩いている。 彼の魅力は、あの気怠げなアンニュイな雰囲気ではないだろうか。 だけど、近づけそうで近づけないのだ。 とても曖昧な空気が彼をつつんでいるから。 迂闊に踏み込んでしまえば、きっとケガをする。 曖昧で緩い彼に隙なんて微塵もないのだから。