月の下

「そろそろ片付けをして下さい。新任の先生の紹介をします。」

学年主任の号令で片付けを済ますと、全員が席に着く。

「じゃあ、初瀬先生。どうぞ。」

『はせ』と呼ばれたその男は教卓の前に立つと、笑顔を見せるでもなく、淡々と挨拶をする。

「初瀬です。よろしくお願いします。」

笑うでもなく、かといって怒っているでもない。無表情な初瀬からは、なんの感情も読み取れない。