なんでこんなことになったんだろう、これは人生で最も許されない大失態だ。
それはデートの日。
せっかく誘ってくれたふうちゃんからのお誘いの集合時間を間違えてしまったのだ。
どうやらこなちゃんのカフェが2駅先の駅前にオープン。
それはもうとても大繁盛中。
予約はできないシステムで、開店前から何十人がずらりと列をなしている、らしい。
だから開店の30分前にはお店に着くように集合時間を決めたはずなのに、うっかり勘違いしてしまった俺のせいで、だいぶ遅くなった。
おかげで着いた時には100人を超える人がいて、『本日は受付を終了させて頂きました』という貼り紙があった。
ふうちゃんのテンションときたらもうこの世の終わりのようで。
全責任俺にあるからただ謝ることしかできない。
「ほんとごめん」
でも何度謝ってもいつも温厚なふうちゃんからはとても想像出来ない冷たい返答が。
「別に。友だちと行けばよかっただけだもん」
ふうちゃんは俺と距離を取ってスタスタ歩いて、帰ってしまった。
追いかけられない俺はどれだけ愚かな男なのだろうか。