「説明書読まなくてもどれも一緒だろ」



まぁ…そうだけどさ。


でもさ、



「一応、見といた方がいいでしょ!」



あたしがそう言うと、彼はまた
フッと笑って笑みを見せ、あたしの買ってきた体温計を脇の間に挟めた。




今、あたしの事…絶対バカにしてる。


でも、読んでおいて損は無いよ…絶対に。




澄した顔で体温計を脇に挟めている彼を軽く睨んだ。



「なぁ…」



「ん?何…?」



少し怒ってる口調で返すあたしを彼は気まずそうに見ており…



「これってさ、音鳴るヤツ?」



はぁ?

だから言ったじゃん!

説明書読まなきゃわからないでしょ!



「鳴るヤツだよ」



愛想無くそう言うと…



「怒んなって…悪かったな」



なんて、ほんとに申し訳そうな彼の顔を見てしまったら…


許すしか無いじゃん!



って、あたし単純…



「いいよ…別に」



―ピピピ♪―ピピピッ♪―



可愛げ無いあたしの言葉と体温計の機会音が同時に鳴った。



脇から体温計を出して彼がチラッと見る。



「何度あった?」



「………38.5℃」



はっ?

マジで…?


思ってたより熱あるじゃん!