加奈子を見れると罰悪そうな顔をして…

あたしに両手を合わせて頭を下げている。




そんな加奈子に頭を横に振る事しか出来ないあたし。




そんな複雑な思いの中、
加奈子同様、麻生 健永の好きな人の事が少しだけ気になり始めていた。



アイツにあたしは、自分の事は関係無いと言ったのに…


彼の想い人が…


どんな人なのか。


あたしの知ってる人なのか。


あの入れ替わり立ち替わりで変わっていた

隣りを歩く女の子の中にいたのかどうか…




あたしが想っていた人の想ってた人がとてつもなく気になった。




どうしてかわからないけど…



彼の昔あたしに向けられた、

たった一度だけの笑顔が一瞬だけ頭の中を過ぎった。





それからはろくに会話も弾まないまま

重たい空気を背負ってこの店を後にした。