それからはまた見ているだけの毎日が始まったが…

あたしの心は凄く満たされていた。



彼のあたしだけに向けられた笑顔が頭の中にちゃんと焼き付いていたから…




でも、彼を見ていて気付いた事があった。



彼の隣りを歩いていた女の子の場所がぽっかりと空いている事を…




勿論、学校中にその事は広まっていた。




―あの麻生 健永が、今彼女いない…と。




そんな事もあって彼に告白する子も多くなった。



あたしも…彼の隣りを歩いてみたい。



手を握って貰いたい。




好きの気持ちだけはどうしても伝えたくなっていた。




この気持ちを少しでも貴方に知って貰いたかったんだ。




あたしをまた見て笑顔を見せて欲しかったんだ。



彼の下駄箱に小さなメモを入れて…



人気の少ない裏庭に呼び出した。



それだけでも緊張していて…



その日、どう過ごしたかも全く覚えていないし…
思い出せない。




いつも以上に彼の事で頭が一杯だったと思う。