―武人side―




俺は何を見ていたんだろ…


俺は何を求めていたんだろ…


俺はどうしてこんなに後悔したんだろ…



知ってた。

6年前のアイツの気持ち。


悲しませるってわかってたんだ。


なのに…どうして…


アイツの想いも、アイツの手も自ら、離してしまったんだろ…




夕佳里…もう一度俺の隣りに居てよ…


何度、そう思ったんだろうか…



―――――


夕佳里と出会ったのは俺が大学に入って三度目の春を迎えた頃だった。


サークルに何気なく顔を出した夕佳里。


おそらく、友達に誘われたんだろ…


自棄に大人びていてツンツンしてそうな女…

男には困ってなさそうな女…


それが俺が夕佳里に対する第一印象だった。



俺はそんな女には全く興味無い。

捨てられて終り…



いつも、おちゃらけている俺。


でも、恋愛に対しては真面目だった。



だから…夕佳里には一切、恋愛感情なんて持たなかった…



はずなのに…



アイツの時折見せる哀しそうな表情が、
俺の瞳にしっかりと焼き付いていったんだ。