近衛兵たちに引きずられアンバーが連れて行かれた先は、地下牢ではなく豪奢な作りをした部屋―――王太子の間だった。

部屋の真ん中にまで行くと、ぞんざいに押さえつけられ床にひざまずかされる。純白の正装が床に広がる中で、アンバーもまた床につくほどに頭を下げさせられた。
エルミドが促し近衛兵たちが王太子の間を出て行く。あとはアンバーとエルミドだけが残った。


これからいったいどのようなことが起こるのか。


国家反逆。


エルミドの言葉が脳裏にこびりついていた。
自分がいつ反逆心を抱いたと言うのか。まったくいわれのないことだ。なのにこれから王太子自らの手で厳しい尋問が始まるというのか…。困惑と恐怖で震えそうになりながら、アンバーそれでも必死に気丈を保って訴えた。


「王太子様は、どうあっても私を断罪するおつもりですか?」

「断罪?」


エルミドは軽薄な顔をゆがめると、さっきとは一変、おどけた調子で繰り返した。


「断罪などまさか。貴女はいわば神。神を断罪することなど、私ごときができましょうか」