「かわいそうに。巣から落ちたのね」
アンバーは慈しむように微笑むと、雛鳥をそっと包み持ち上げた。
そうして、唇に寄せると、吐息するように祈った。
すると、ぐったりしていた雛鳥が驚いたようにピクリと震えたかと思うと、それまでの弱々しさが嘘のように鳴きわめきだした。
『聖乙女』たるアンバーの能力のひとつ、【癒し】の力を使ったのだ。
「うん、禊の効果抜群ね。ふふ、そんなに元気になって。もう飛べそうなくらいね」
という言葉に呼応するように元気に羽ばたいて見せるものの、雛鳥の翼は実際に飛翔するにはあまりに小さい。もちろん、自力で巣に戻ることもできないだろう。
アンバーは首が痛くなりそうな高い木を見上げた。どうやって巣に戻してあげようか。
「よっし!」
答えは早かった。
気合を入れるなりひらひらと揺れて邪魔な両袖を肩までまくり上げ、地面に接する裾を膝上までたくし上げてきつく結ぶ。これで身動きしやすくなった、とアンバーは意気込んで木に足を駆けた。
木登りは『聖乙女』になる前の小さい頃からよくやっていた。身体がコツを覚えている。朝飯前だ。
アンバーは慈しむように微笑むと、雛鳥をそっと包み持ち上げた。
そうして、唇に寄せると、吐息するように祈った。
すると、ぐったりしていた雛鳥が驚いたようにピクリと震えたかと思うと、それまでの弱々しさが嘘のように鳴きわめきだした。
『聖乙女』たるアンバーの能力のひとつ、【癒し】の力を使ったのだ。
「うん、禊の効果抜群ね。ふふ、そんなに元気になって。もう飛べそうなくらいね」
という言葉に呼応するように元気に羽ばたいて見せるものの、雛鳥の翼は実際に飛翔するにはあまりに小さい。もちろん、自力で巣に戻ることもできないだろう。
アンバーは首が痛くなりそうな高い木を見上げた。どうやって巣に戻してあげようか。
「よっし!」
答えは早かった。
気合を入れるなりひらひらと揺れて邪魔な両袖を肩までまくり上げ、地面に接する裾を膝上までたくし上げてきつく結ぶ。これで身動きしやすくなった、とアンバーは意気込んで木に足を駆けた。
木登りは『聖乙女』になる前の小さい頃からよくやっていた。身体がコツを覚えている。朝飯前だ。



