正直、怖かったんだ。

頼斗の近くで変わっていく私自身が。


地に足がついてないことくらい、自分が一番わかってたんだ。

いつかこの登り道にも見える毎日が、一瞬にして消えちゃうんじゃないかって、急にどこかに落ちていくんじゃないかって、そんな気がした。


だって、これは本当の私じゃなかったから。





だけど、止められなかった。



唯一、元のままの私が出せるのが幼なじみの陸ひとりで。

陸といるときは、昔からの、ありのままの自分で話せた。
そうじゃないときもあったかも知れないけれど。


だから、陸と話している時間は何にも代えられないくらい心地よかったんだ。



ひょっとしたら、突然舞い降りてきた、明るくてしっかり者の生徒会の私に、私自身がもう疲れちゃってたのかもしれない。






陸の大切さと、自分の気持ちにやっと気づいてから、わかったことがある。



私は本当にの好きな人のことは、誰にもいっさい話せない、ということ。

その人に気に入られたくても、タイプを聞き出したりなんてできないということ。


そして、好きな人に面と向かって告白する勇気なんて、ほんのちょっとも無かったということ。




小学生の頃の、おとなしくて目立たない、頼りないかつての私のときと何も変わっていなかったんだ。

あの時私が好きだったのも、陸だった。



何も言えずに終わっちゃったけれど。